析出性乳濁ガラスを用いた技法です。このガラスは、加熱冷却といった温度履歴に依って異なる透明度を呈します。内部に彫り込み模様のある金型に、加熱して軟らかくしたガラス(表層のみ乳濁ガラス)を、模様の凹部に触れない程度に吹き込むと、金型内の凸部に触れ冷却された部分と凹部に相当する部分で温度差が生じます。ガラスを金型から引き出し、炉で再加熱(析出性乳濁が進む温度域を維持)すると金型で冷却された部分の乳濁が促されます。模様の凹凸部に相当する部分で透明度(乳濁度)に差が生じ、金型の模様を転写する事ができます。模様の出る様子から焙り出し等と呼ばれます。
あぶり出し技法については、[神戸市立博物館.特別展 びいどろ・ぎやまん・ガラス 図録、2000年、134-137頁]の井上暁子氏の解説、[別冊太陽 明治・大正のガラス、平凡社、1994年、19頁]の山口勝旦氏のガラス彩話を参考にしています。
乳濁ガラスの一つである市販のオパーリンのガラス原料を入手すると、透明の場合と不透明(乳白色)の場合があります。透明の物は、軟らかくなるまで加熱し冷めると乳白色に、不透明の物は、軟らかくなるまで加熱すると透明になりますが、冷めると乳白色に戻ります。温度管理次第では、このガラスでも乳濁度の制御が出来ると思いますが、あぶり出し技法に使用されているガラスの組成は色々と工夫されている物のようです。
ガラスの組成については、[長谷川保和、魅惑のガラスノート、内田老鶴圃、1993年]にも記載がありますが、原料の配合から行うのは、難しそうです。
以下、乳白の透かし模様に惹かれ蒐集した物の一部です。
古代文(左)
縞文 (中央)
菖蒲に蝶文 (右)
鱗文なつめ形(左)
水玉文なつめ形(中央)
七宝つなぎ文なつめ形(右)
輪つなぎ文碗型 (左)
渦巻文 (中央)
型吹き格子文碗形 (右)
水玉文碗型 (左)
格子文 (中央)
格子文碗型 (右)